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【NISA】金融庁「つみたて投資枠」の年齢制限引き下げ、高齢者向けの新たな機能を検討

金融庁「高齢者向けNISA」「未成年向けNISA」の創設検討(イメージ)

最近、金融庁は高齢者向けNISAの創設検討を進める中で、これまで対象外であった「毎月分配型」の投資信託を利用できるようにする案や、既に利用中の非分配型ファンドを1回限りで分配型に切り替える(=スイッチング)仕組み、さらに「つみたて投資枠」の年齢制限引き下げについて検討していると報道されています。以下、各機能のポイントをご紹介します。


1. 「1回だけ分配型に切り替え(スイッチング)られる仕組み」について

現行制度の背景

これまで新NISAでは、長期分散積み立てを促す趣旨から、運用益は自動的に再投資される非分配型の投資信託が基本でした。そのため、定期的な分配金を受け取る「毎月分配型」の投資信託は対象外となっていました。

検討中のスイッチング制度の概要

  • 仕組みの目的
    高齢者の場合、生活資金として毎月一定額の分配金が必要というニーズがあります。そこで、既にNISA口座内にある非分配型の投資信託を、税制上のメリットを維持したまま、一度だけ運用形態を分配型に変更できる仕組みが検討されています。

  • スイッチングの具体的なイメージ
    たとえば、S&P500やオルカンに連動する非分配型投資信託を保有している場合、今後生活資金として分配金を受け取る必要が生じた際、一回限りその運用モードを変更し、分配金を毎月受け取れるように切り替えることが可能となるとされます。
    ※この切替えは、現行の銘柄を売却して別の分配型商品に買い替えるのではなく、運用モード自体を変更する点が特徴です。

  • 注意点
    すべての指数連動型ファンド(例:S&P500、オルカンなど)が分配型として提供されているかどうかは、各運用会社のラインナップによるため、利用可能な選択肢は商品ごとに異なります。また、現時点では検討段階のため、今後の詳細な運用ルールについては正式な発表を待つ必要があります。


2. 「つみたて投資枠の年齢制限引き下げ」について

現行制度と背景

現行のNISA制度では、つみたて投資枠の利用資格は原則18歳以上となっています。しかし、今回の高齢者向けNISA創設検討と並行して、より使いやすい制度にするために、年齢制限を引き下げる案も検討されています。

年齢制限引き下げの目的

  • 若年層の投資参加の促進
    これまでの制度では、18歳以上とされていたため、未成年は対象外でした。年齢制限を引き下げることで、より幅広い年齢層に投資の機会を提供し、早期からの資産形成を促す狙いがあります。

  • ジュニアNISAとの違い
    かつてはジュニアNISAという未成年者向けの非課税投資制度が存在しましたが、2024年以降の新制度で廃止されています。今回の年齢制限引き下げは、ジュニアNISAの代替や再導入を目的としたものではなく、現行のつみたて投資枠自体をより多くの年齢層が利用できるようにするための措置です。


3. まとめ

金融庁は、高齢者の生活資金確保のため、従来非対象だった毎月分配型の投資信託をNISA口座で利用できるようにする「スイッチング」制度(保有中の非分配型ファンドを一度だけ分配型に変更する仕組み)を検討しています。また、つみたて投資枠の年齢制限については、より多くの年齢層が利用できるように引き下げる案も進められており、これはジュニアNISAの再導入を目的としたものではありません。これらの動きは、現実に存在する投資ニーズに応えるために検討されている事実に基づく施策です。

今後、具体的なルールや実施方法が公表されるにつれ、利用者としても詳細を確認し、ライフプランに合わせた資産運用の選択肢として活用できるよう注視することが重要です。