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新しい大人像の正体は?現代の働き方を変える「数寄者」的生き方

職人的なこだわりは、1つの型(イメージ)

最近、「大人ってなんだろう?」と考える機会が増えていませんか? かつて私たちが思い描いた「大人」のイメージは、どうも今の時代にはしっくりこない。そんなモヤモヤを抱えている人も少なくないでしょう。

かつての「大人」といえば、どんな姿を思い浮かべますか? おそらく、ネクタイを締め、会社に忠誠を誓い、接待ゴルフにいそしみ、時に理不尽にも耐えながら家族のために働く「サラリーマン」の姿ではないでしょうか。

 

「昔の大人像」はもういらない?:サラリーマン文化からの脱却

戦後の高度経済成長期、日本を支えたのはまさにこのサラリーマン文化でした。「会社は家族」「滅私奉公」という精神で、終身雇用と年功序列を背景に経済大国へと駆け上がった時代です。この時の「大人らしさ」は、組織への忠誠、私生活の犠牲、そして画一的な安定を意味しました。特に男性が一家の大黒柱として社会を支えるという性別役割分担が色濃く、まるで主君に仕える「お侍」のように、会社に尽くすことで自分の「居場所」と「安定」を手に入れる、そんな生き方でした。

しかし、1990年代のバブル崩壊以降、この「安定神話」は崩れ去りました。リストラや成果主義の導入が進み、「会社に入れば一生安泰」という保証はもはやありません。長時間労働や人間関係のストレスといった、かつては隠されていたサラリーマンの厳しい現実が明るみに出るにつれて、「こんな風にはなりたくない」と感じる人が増えました。コロナ禍を経てリモートワークが普及し、場所にとらわれない働き方が加速したことも、この変化を後押ししています。

今の時代に求められる「大人らしさ」は、かつての堅苦しさや画一性とは真逆です。「大人なのに子供っぽい」「ちょっと変わってる」とさえ思われるような生き方こそ、新しい「大人らしさ」として肯定的に捉えられるようになっています。

 


 

「新しい大人像」が求めるもの:職人的・商人的な視点

では、現代の「新しい大人像」は一体何を求めているのでしょうか? かつての会社への依存から脱却し、現代人は「個」を確立することを目指しています。そこには、二つの側面が見えてきます。

一つは、「職人的なこだわり」です。自分の「好き」や情熱を特定の分野に注ぎ込み、深い知識やスキルを追求したいという欲求。単に稼ぐだけでなく、自分が生み出すもの、提供するサービスの質に徹底的にこだわりたい。

もう一つは、「商人的な戦略性」です。自分のスキルや「好き」が市場でどれくらいの価値を持つのかを意識し、自ら稼ぐ力を持ちたい。企業側も個人の専門性を重視し、即戦力を求める傾向が強まっている中、多様な人との繋がりや情報発信への意識は不可欠です。

この「職人的なこだわり」と「商人的な戦略性」を兼ね備えることこそが、現代人が仕事や人生に求める理想の姿なのです。

 


 

「見られたい、名を上げたい」:普遍的な欲求の現代的表現

そして、この新しい大人像の根底には、「見られたい」「名を上げたい」という強い欲求があります。

これは、決して新しい概念ではありません。戦国時代の武士が命がけで「功名」を挙げようとしたり、歴史上の芸術家や学者が作品や研究を通じて「名声」を求めたりしたように、自分の存在意義を認められ、価値を世に知らしめたいという願望は、人類に共通する普遍的なものです。

しかし、現代ではその「名を上げる」手段が劇的に変化しました。YouTubeやSNSといったデジタルプラットフォームの登場により、誰もが簡単に自分の活動やライフスタイルを発信し、「見られる」ことを可能にしたのです。この「見られる」ことは、単なる注目だけでなく、自己実現、承認、そして新しいビジネスチャンスへと繋がる、極めて能動的な行為になっています。もちろん、過度な承認欲求や炎上といったリスクも伴いますが、それらを乗り越えることで得られる影響力や達成感もまた大きいのです。

 


 

新しい大人像の正体は「現代の数寄者」だった!

これらの要素を総合すると、新しい大人像の正体が見えてきます。それは、まさに日本の伝統的な美意識を体現する「数寄者(すきしゃ)」の現代版です。

「数寄者」とは、茶の湯や和歌など特定の「道」に深く傾倒し、並々ならぬ情熱とこだわりを持ってその奥義を探求した人々を指します。彼らは、世俗の権威や常識にとらわれず、自身の美意識や探求心を優先し、精神的な豊かさを何よりも重んじました。かつての数寄者も、必ずしも富裕層ばかりではなく、それぞれの立場で自身の道を極めようとした人々でした。

現代の「新しい大人」もまた、「世俗の縛りからの解放」を目指し、アニメ、ゲーム、アウトドア、DIY、プログラミング、あるいは特定のニッチな趣味といった、自分にとっての「数寄」を徹底的に追求します。その中で「職人的」なこだわりを持ってスキルを磨き、品質を追求するのです。

そして、従来の数寄者が内向的で、ごく限られた知己との間でその「数寄」を共有していたのに対し、現代の数寄者は違います。YouTubeやSNSという現代の道具を駆使して、自身の「好き」やこだわりを積極的に発信し、不特定多数に「見られたい」「名を上げたい」と願います。それは、自己表現であり、共感を得てコミュニティを築き、さらにはそれを経済的な自立へと繋げる「商人的」な側面をも持つのです。この「人とは違う最強な俺(私)」という側面は、特定の領域で抜きん出た能力や個性を持ち、それを社会に発信・表現することで、自分らしく生きる現代の新しい大人像を強く表していると言えるでしょう。

 

現代の数寄者が直面する挑戦と未来

もちろん、この新しい生き方が常に順風満帆とは限りません。常に新しいコンテンツを生み出すプレッシャーや、「見られたい」欲求が承認欲求の沼に陥る可能性、経済的な不安定さなど、特有の課題も存在します。しかし、従来の大人像にはない圧倒的な自由とやりがい、そして自己成長の実感がそこにはあります。

タモリさんの尽きることない知的好奇心、星野源さんの多才な表現力、所ジョージさんの遊びの天才ぶり、あるいはYouTubeで活躍するクリエイターたちの姿は、まさにこの「現代の数寄者」像を体現しています。性別や年齢に関係なく、誰もが自分の「好き」を追求し、発信することで、この新しい大人像を目指せる時代が来ています。彼らは多様な個性が輝く社会を実現し、新しい価値創造の原動力となり、持続可能な社会形成にも貢献していくでしょう。

 


 

まとめ:あなたも「現代の数寄者」になろう

「新しい大人像」は、かつての大人像とは異なり、もっと自由で、創造的で、そして何よりも「楽しむ」ことに重点を置いています。それは、単なる年齢や肩書きに縛られず、自身の「好奇心」と「情熱」を原動力に、世俗の縛りから解放され、自分らしく輝きながら、社会と多様に繋がる生き方です。

さあ、あなたも自身の「好き」を追求し、積極的に発信してみませんか? たとえ小さな一歩でも、SNSで日々の発見を共有したり、オンラインコミュニティに参加して同じ趣味の仲間と繋がったりすることから、あなたの「数寄」は深まり、広がっていくはずです。きっと、そこに「新しい大人」としてのあなたの魅力と、充実した生き方を見つけることができるでしょう。