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「サラリーマン根性」は50代を潰す?役職定年を機に脱却する、もう一つのキャリア戦略

わずか30年で当たり前になった、役職定年(イメージ)

この記事でわかること:

  • 50代の役職定年がもたらす現実と、その背景にある日本独特の「根性論」の功罪

  • なぜ「定年まで会社に依存する」働き方が危険なのか

  • 「根性」に頼らず、50代から始める具体的なキャリア自律のステップ

  • 会社に縛られない「もう一つのキャリア」を築くための実践的なヒント


 

「サラリーマン根性」は50代を潰す?役職定年を機に脱却する、もう一つのキャリア戦略

「サラリーマンは根性で勤め上げるものだ」――そう教えられ、疑いなく生きてきた人も多いのではないでしょうか。しかし、現代の日本社会で、この「根性論」だけを頼りにキャリアを歩むのは非常に危険です。特に50代を迎え、多くの企業で当たり前になった「役職定年」は、この現実を突きつける最大の要因となっています。

かつてはなかったこの制度が、わずか30年で「当たり前」になった裏には、年功序列の維持と人件費抑制、そして組織の新陳代謝を図りたい企業の思惑があります。そして、多くのサラリーマンは、給与半減という厳しい現実を突きつけられても、「そういうものだ」と受け入れざるを得ない立場の弱さにいます。「マイルドな姥捨山」とまで言われるこの状況は、もはや「他人事」ではありません。

なぜ、こんなことになってしまったのか。それは、私たち自身が「サラリーマンとして勤め上げるための教育」を受け、会社に依存する働き方に慣れきってしまったことも一因です。学校では「指示に従い、協調性を重んじる」ことが評価され、社会に出ても「会社がすべて面倒を見てくれる」という終身雇用幻想に甘んじてきた結果、いざという時に「会社以外で何ができるのか」と立ちすくんでしまう人が少なくないのです。

しかし、もう「根性」だけで未来は切り拓けません。これからの時代を生き抜くためには、「会社依存」から脱却し、自らのキャリアを主体的にデザインする「キャリア自律」が不可欠です。

 


 

なぜ「定年まで勤め上げるだけ」ではマズいのか?

「サラリーマンは勤め上げるのが立派」という価値観は今も健在です。長年の安定的な貢献は確かに素晴らしいこと。しかし、現代では、ただ定年まで会社にいるだけでは、以下のような「まずい」事態を招きかねません。

  • 経済的な破綻リスク: 役職定年による給与の大幅減は、住宅ローンや教育費、そして老後の資金計画に直結します。「マイルドな姥捨山」と呼ばれるゆえんです。2023年の厚生労働省の調査でも、役職定年制を導入している企業の約半数が55歳を区切りとしており、その後の給与水準は大幅に低下する傾向にあります。準備がなければ、生活設計が大きく狂います。

  • モチベーションと居場所の喪失: 責任ある役職から外され、与えられる仕事が限定的になると、急激にやりがいを失い、会社に自分の居場所がないと感じてしまう人が少なくありません。長年培った役職や役割を失うことは、単なる収入減だけでなく、自身のアイデンティティや社会とのつながりを見失うような、深い喪失感を伴うこともあります。

  • スキルの陳腐化と再就職の困難: 会社内での役割が縮小すると、新しいスキルを学ぶ機会が減り、市場価値が低下するリスクがあります。いざ会社を離れたくなった時に、選択肢がない現実に直面することになります。

  • 「会社以外」の空白地帯: 会社が人生の全てだった場合、定年退職は大きな喪失体験になります。会社以外のコミュニティや活動がなく、孤立してしまうリスクもあります。


 

「根性」に頼らない!今から始めるキャリア自律への具体的な道

「会社依存」から脱却し、主体的なキャリアを築くためには、今すぐ具体的な行動を起こすことが重要です。

  1. 自身の「市場価値」を可視化・強化する

    会社の中での役割だけでなく、社外で通用するスキルを意識的に磨きましょう。

    • スキルの棚卸しとリスキリング: これまでの経験で培ったスキルを洗い出し、何が強みになるかを明確にします。同時に、AI、データ分析、デジタルマーケティング、グリーンテクノロジーなど、今後需要が高まる分野のスキルを意識的に学び直しましょう。政府もリスキリング支援策を強化しており、個人が利用できる補助金制度や無料のオンライン学習プラットフォーム(Udemy, Courseraなど)や専門スクール、自治体の講座などを積極的に活用し、資格取得も視野に入れると良いでしょう。「何から学べばいいか分からない」という人は、まず自分が「楽しい」「興味がある」と感じる分野から小さく始めてみるのがおすすめです。

    • ポートフォリオの作成: 営業成績、プロジェクト実績、改善提案など、具体的な成果を数値や事例で示せるように整理します。副業や個人プロジェクトがあれば、それも立派な実績としてアピールできます。

  2. 「会社以外」に居場所とネットワークを作る

    会社の中に閉じるのではなく、積極的に社外との接点を持ちましょう。

    • 副業・プロボノで「お試し」: まずは本業に支障のない範囲で、興味のある分野の副業や、NPOなどでのプロボノ活動を始めてみましょう。副業を解禁する企業は年々増加しており、企業も個人の自律的な学びを後押しする傾向にあります。これにより、新しいスキルを試したり、社外での人脈を築いたり、自分の市場価値を測る良い機会になります。まずはクラウドソーシングサイトに登録してみる、SNSで自分のスキルを発信してみるなど、小さくても「稼ぐ」経験を積むことが自信につながります。

    • 異業種交流会・勉強会への参加: 会社の枠を超えた人々と交流し、情報交換することで、新しい視点やビジネスチャンスが生まれることがあります。SNSを活用したコミュニティ参加も有効です。

    • 趣味やボランティア活動への積極参加: 会社とは関係のない場所で、人間関係を築き、貢献感を味わうことは、精神的な安定と、新たな可能性の発見につながります。

  3. 経済的・心理的な準備を早期に進める

    キャリアの選択肢を広げるためには、心の準備と経済的な裏付けが不可欠です。

    • ライフプラン・マネープランの見直し: 役職定年後の収入減を見据え、早いうちから家計を見直し、資産形成(iDeCo、NISAなど)を計画的に進めましょう。人生100年時代と言われる今、定年後も働き続けることが前提となりつつあります。何歳でどの程度の資金が必要か具体的にシミュレーションし、逆算して準備を進めます。

    • 「最悪のシナリオ」を想定し、心の準備: 会社を辞めることになった場合や、希望通りのキャリアが進まなかった場合のプランBを考えておくと、漠然とした不安が軽減されます。

    • 家族との共有と協力: 自身のキャリアプランや経済状況の変化について、家族とオープンに話し合い、理解と協力を得ることは非常に重要です。


 

企業にも求められる「根性論」からの脱却

会社にぶら下がらず、自分自身の未来を切り拓く(イメージ)

もちろん、この変化は個人だけの努力に頼るものではありません。企業側も、社員のキャリア自律を支援するため、リスキリング支援や社内公募制度、専門職コースの拡充、副業の推進など、多様な働き方を許容する取り組みを進める必要があります。古い「根性論」から脱却し、社員が長く活躍できる持続可能な環境を構築することが、企業自身の成長にも繋がるのです。

サラリーマンとして勤め上げてきた経験は、紛れもなくあなたの財産です。その経験と「根性」で培った粘り強さは、これからのキャリア自律の大きな武器になるでしょう。

しかし、その「根性」を、ただ「会社にぶら下がるため」や「理不尽に耐えるため」に使うのではなく、「自分自身の未来を切り拓くため」に使いませんか?

今日から一歩を踏み出すことで、50代の役職定年を、キャリアの終わりではなく、新たなステージへの最高のスタート地点に変えることができるはずです。あなたの未来は、あなたが今から作るものです。