元TBSアナウンサーが明かした「アラフォーの孤独感」。この言葉の裏には、多くの人が密かに抱える現代の恋愛の悩みと、その複雑な構造が見え隠れしています。なぜ、これほど多くの人が「恋愛が難しい」と感じるのでしょうか?
恋愛の常識を変えた「LOVE」と「ときめき」
かつて日本の結婚は、家と家との結びつきや、親戚や仲人を通じたお見合いが主流でした。個人の感情よりも、条件や安定が重視される時代。しかし、戦後の社会変化、特に1960年代にビートルズがもたらした「LOVE」(愛)という個人の感情に根差したロマンチックな概念は、日本の恋愛観に大きな変革をもたらしました。
そして、その流れを決定づけたのが、1970年代以降の少女漫画によって広まった「ときめき」という感情です。胸の高鳴りや、心ときめく瞬間が、恋愛の始まりには不可欠であるという認識が、若い世代に深く浸透していきました。「ときめきがないと始まらない」という価値観は、もはや現代恋愛の共通言語となったのです。
「ときめき」追求の果てに現れた「恋愛市場」
「LOVE」と「ときめき」を追い求める感情重視の恋愛観は、私たちに自由な選択の喜びをもたらしました。しかし、その一方で、新たな課題も生み出します。
人は誰しも「より良いものを選びたい」と願うものです。そして、「ときめく相手」という理想を追求するあまり、無意識のうちに「誰もが選ぶ側になりたい」という心理が強く働くようになりました。まるで、たくさんの商品が並ぶ市場で、最高の品を選びたい買い手のように。
これが、現代の「恋愛市場」の始まりです。
この市場では、以下のような厳しい現実が浮き彫りになります。
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自己評価と他者評価のズレ: 「自分はこれくらいの価値がある」という自己評価と、他者からの評価にギャップがある場合、理想の相手とのマッチングは困難になります。
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「正解」の時代変化: 恋愛における「良い」とされる条件や常識は、時代や世代によって常に変化します。例えば、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(2021年)」によれば、未婚者が結婚相手に求める条件は「価値観が近いこと」「一緒にいて楽しいこと」が上位にあり、かつて重視された学歴や容姿は相対的に低下しています。この変化が歳の差恋愛の難しさにも繋がっています。
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積極性の欠如: 誰もが「選ばれたい」と受身の姿勢でいると、出会いの機会は停滞します。自ら動いてチャンスを掴む人が圧倒的に有利となり、多くの人が「恋愛が苦手」だと感じる原因にもなっています。
結果として、恋愛は時に「職業に就くことよりも難しい」と感じられるほど、複雑で不確実なものになってしまったのです。
「恋愛市場」を賢く生き抜く「プロの介在」
「LOVE」と「ときめき」を追求した結果、恋愛は非常に難解なものになりました。しかし、それは「LOVE」や「ときめき」を諦めるということではありません。むしろ、それらの感情が生まれ育つための土壌を、いかに効率的かつ戦略的に整えるかが重要になります。
ここで、大きな役割を果たすのが「プロの介在」です。
現在の結婚相談所に代表されるサービスは、単なる昔のお見合いの復活ではありません。これは、複雑な「恋愛市場」を生き抜くための、現代版の羅針盤とも言えるでしょう。
実際に、プロの介在が成果を出しているデータがあります。 一般社団法人日本結婚相手紹介サービス協議会(JMIC)のデータによると、結婚相談所を通じた年間成婚者数は、2013年から2022年の間に約8割も増加し、2022年には年間38,000人以上が成婚に至っています。これは、同時期の国内の婚姻件数の約3%を占めるほどであり、プロの介在がもはや特別なことではないことを示しています。
この背景には、プロによる以下のようなサポートがあります。
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客観的な自己認識の提供: 友人や家族には頼みにくい、あなたの魅力や改善点をプロが客観的に分析し、的確なアドバイスを提供します。
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相性の良い出会いの創出: 感情論だけでなく、データに基づき、あなたの価値観やライフスタイルに合う相手を効率的に紹介し、「ときめき」が生まれる可能性のある出会いの質を高めます。
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コミュニケーションと関係構築のサポート: 出会いから交際、そして成婚に至るまでの各段階で、具体的なアドバイスや背中を押してくれる存在です。これにより、恋愛が苦手な人でも安心して前に進めます。
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「LOVE」が育つ環境づくり: 最初から爆発的な「ときめき」がなくても、相性の良い相手と安心して関係を深める中で、自然と深い「LOVE」へと発展する可能性を高めます。
現代の恋愛は、確かに難しい側面が増えました。しかし、それは決して絶望的な状況ではありません。「LOVE」と「ときめき」はそのままに、自己を深く知り、市場の仕組みを理解し、そして必要に応じてプロの知見とサポートを賢く活用すること。これこそが、現代の「恋愛市場」を乗りこなし、自分にとっての幸せなパートナーシップを築くための、新たな「正解」と言えるのではないでしょうか。