2025年11月、私たち家族は羽田空港から瀬戸内海の直島へ、2泊3日の特別な旅を計画しています。この旅は、穏やかな自然の中で、世界的アーティストの作品や建築に没入し、島の恵みを五感で味わう、忘れられない体験となるでしょう。小学生の子どもたちと一緒に、洗練されたアートと豊かな美食が融合する直島の魅力を存分にご紹介します。
1日目:自然が息づくアートの島へようこそ
羽田空港からJAL477便(9:30発)で高松空港へ。約1時間半のフライト中、窓外には都市の喧騒が遠ざかり、やがて瀬戸内の穏やかな景色が広がり始めます。
高松空港に到着したら、まずは香川の誇る讃岐うどんで旅の幕開けを。空港内の「さぬき麺業 高松空港店」では、透明感のある出汁と、噛むほどに小麦の香りが広がるコシの強いうどんが自慢です。揚げたてのちくわ天や鶏天を添えれば、シンプルながらも奥深い、香川の味覚を存分に楽しめます。
リムジンバスで高松港へ移動し、フェリーに乗り換えて直島へ。約50分の船旅では、青い海と空の下、点々と浮かぶ緑豊かな島々が織りなす多島美に目を奪われます。波音が心地よく、潮風が頬を撫でるたび、心が解き放たれていくのを感じるでしょう。
直島・宮浦港に到着すると、まず視界に飛び込んでくるのは、草間彌生氏の鮮烈な「赤かぼちゃ」。水玉模様の巨大なオブジェは、太陽の光を受けて輝き、港の鮮やかなシンボルとして訪れる人々を歓迎します。
宿泊は、海岸線に寄り添うように建つ「ベネッセハウス パーク」。建築家・安藤忠雄氏が設計した建物は、コンクリートとガラス、そして自然光が織りなすミニマルな空間が特徴です。建物自体が周囲の風景と一体化し、アート作品のような佇まいで、滞在するだけでも心が洗われるような体験ができます。
チェックイン後、午後はホテル周辺のアート施設を巡ります。まずは「ベネッセハウス ミュージアム」へ。安藤忠雄氏の設計による建物は、自然光がドラマチックに降り注ぎ、ブルース・ナウマンのネオン作品や杉本博司氏の「海景」シリーズなど、国内外の著名な現代アートが展示されています。屋外には、大海原を背景にした「南瓜」(通称:黄かぼちゃ)をはじめとする作品が点在し、瀬戸内の自然とアートが織りなす唯一無二の風景は、見る者の心に深く刻まれるでしょう。
続いて訪れる「李禹煥(リ・ウファン)美術館」も、安藤忠雄氏が手掛けた静謐な空間です。韓国の現代美術家、李禹煥氏の作品は、石や鉄といった素朴な素材を用い、空間との対話を重視しています。無駄を削ぎ落としたミニマルな展示は、静けさの中で作品と鑑賞者が向き合う深い時間を創出します。
夕食は、ベネッセハウス内の「テラスレストラン」で、瀬戸内海を一望するフレンチディナーを。沈みゆく夕陽が海面を茜色に染め上げていくドラマチックな景色を眺めながら、瀬戸内の海の幸をふんだんに使った料理を堪能します。例えば、新鮮な真鯛のポワレは、皮目は香ばしく、身はふっくらと焼き上げられ、旬の野菜が彩りを添えます。香川のブランド牛であるオリーブ牛のローストは、その豊かな旨味が口いっぱいに広がり、家族全員が美食の芸術に酔いしれるひとときとなるでしょう。お子様向けのメニューも相談可能です。
2日目:島の鼓動を感じながらアートを深く巡る
朝食は、ベネッセハウス パークで、瀬戸内のやわらかな光が差し込むダイニングでビュッフェを。和洋折衷の豊富なメニューで、心地よい一日の始まりを迎えます。
朝9時頃、ホテルで電動アシスト自転車をレンタルし、島巡りへ出発。風光明媚な直島では、自転車での移動が最もおすすめです。海沿いの道を走り、潮風を感じながら、点在するアートスポットを目指しましょう。
まずは「地中美術館」へ(事前予約が必須なので、早めの手配をおすすめします)。安藤忠雄氏が「地中」に創り上げたこの美術館は、自然光のみで作品を展示するという独創的な空間です。クロード・モネの「睡蓮」の連作は、時間や天候によって光の入り方が変わり、作品の表情が刻々と変化します。光の魔術師ジェームズ・タレルの作品では、空間そのものが光によって変容し、私たちの視覚と知覚に深い問いを投げかけます。そして、巨大な花崗岩の球体が象徴的なウォルター・デ・マリアの空間は、光と影のコントラストが織りなすドラマティックな体験を提供し、その崇高な美しさに圧倒されることでしょう。
昼食は、地中美術館の余韻に浸りながら、宮浦港近くのうどん屋さん「木の崎」へ。ここでは、直島の漁師町で長く愛されてきた、素朴で優しい味わいのうどんが楽しめます。おすすめは、いりこ出汁の香りが食欲をそそる「かけうどん」に、揚げたての野菜天や、ふわふわとした食感のちくわ天をトッピング。地元の食材を活かした、心温まる一杯をどうぞ。
午後は、本村地区の「家プロジェクト」を巡ります。これは、古くからある民家をアーティストたちが改修し、現代アート作品として再生させたユニークなプロジェクトです。漆喰の壁に光が揺らめく「角屋」、杉本博司氏が手掛けたガラスの階段が印象的な「護王神社」、そして大竹伸朗氏が手掛けた、日常のオブジェが非日常の空間を創り出す「碁会所」など、それぞれが異なるテーマと表現で、島の歴史や人々の営みとアートが融合した姿を見せてくれます。
その後、大竹伸朗氏が手掛けたカラフルな銭湯「直島銭湯「I♥湯」」の外観を見学。この銭湯は、既存の概念を打ち破る、遊び心あふれるタイルやオブジェで彩られ、眺めるだけでもアートの楽しさと、彼のユニークな世界観を感じることができます。
夕食は、ホテルに近い本村地区の魚料理店「直島ごはん ゑびすかも」へ。瀬戸内海の新鮮な魚介を存分に堪能できるお店です。その日の仕入れによって内容は変わりますが、ぜひ味わってほしいのは、瀬戸内で獲れたばかりの旬の魚を盛り合わせた「お造り盛り合わせ」。透き通るような白身魚や、身の締まった青魚など、豊かな海の恵みを五感で味わえます。また、新鮮な魚を丁寧に煮付けたり、香ばしく焼き上げたりした「煮魚」や「焼き魚」も絶品。島の温かい雰囲気の中で、心ゆくまで旬の味覚を堪能し、直島の夜をゆっくりと過ごしましょう。人気店なので、事前の予約をおすすめします。
3日目:アートの余韻を胸に帰路へ
最終日の朝食は、ベネッセハウス パーク内のカフェで、軽めのパンやコーヒー、フルーツなどを選んでみましょう。ガラス張りの空間からは、穏やかな瀬戸内海の風景が広がり、旅の余韻に浸りながら、静かな朝の時間を過ごせます。
チェックアウト後、午前中はベネッセハウス周辺を散策したり、まだ訪れていない屋外作品を探したりするのも良いでしょう。敷地内には、大きな石の彫刻や、特定の角度から見ると景色と同化するようなユニークなオブジェなど、思いがけないアートとの出会いが待っているかもしれません。
宮浦港周辺では、旅の記念となるお土産探しを。草間彌生氏の南瓜モチーフグッズや、美術館のオリジナルグッズ、直島の素材を使った工芸品、小豆島のオリーブ製品など、アートの記憶を持ち帰る品々を選んでみましょう。
フェリーで直島を後にし、高松港からリムジンバスで高松空港へ。この移動中も、窓からは瀬戸内海の美しい多島美が広がり続けます。穏やかな水面、点々と浮かぶ緑の島々、そして空に広がる雲の様子は、まるで一枚の絵画のよう。特に夕暮れ時であれば、空と海が茜色に染まる壮大な景色に出会えるかもしれません。この移りゆく風景そのものが、直島での体験を締めくくる、最高の芸術作品となるでしょう。
高松空港では、「レストランエリエール 高松空港店」で最後の昼食を。洋食メニューが豊富なので、家族それぞれが好みのものを選べます。滑走路を望む窓際の席からは、飛び立つ飛行機が、アートの島で得た素晴らしい思い出を、遠い空へと運んでいくように見えるかもしれません。
高松空港(TAK)を14:55に出発するJAL(日本航空) JL482便で、羽田空港(HND)には16:10に到着予定です。直島で体験したアートと豊かな自然、そして美味しい食事の記憶を胸に、帰路につきます。
直島旅の便利なポイント
- 11月下旬の服装のヒント: この時期の直島は、日中は穏やかですが、朝晩は冷え込みます。海沿いは風が強いこともあるため、薄手のダウンジャケットやフリースなど、重ね着で調整できる服装がおすすめです。首元を温めるストールなどもあると安心でしょう。
- 電動アシスト自転車は必須級! 直島のアートスポットは屋外にも点在し、島内にはアップダウンがあります。電動アシスト自転車なら、家族みんなで快適に島内を巡れ、心地よい潮風を感じながら移動を楽しめます。
- 美術館の開館時間と休館日の確認: 各美術館は特定の曜日に休館日を設けている場合があります。特に地中美術館は事前予約が必須な上、人気が高いため、日時が決まったら早めに公式サイトで開館時間と休館日、そして予約状況を確認しましょう。
- 島内バスの活用: 自転車に乗れない場合や、悪天候時でも、島内にはバスが運行しています。美術館や各港を結んでいるので、事前に時刻表を調べておくと便利です。
- 小さなお子様連れの方へ: ベビーカーはフェリーへの持ち込みは可能ですが、美術館内では使用制限がある場合もあります。抱っこ紐なども検討し、無理のないペースでアートを楽しむ計画を立てましょう。
- 飲食店の事前予約: 人気の飲食店は混み合うことがあるので、特に夕食は事前の予約を検討してください。
いかがでしたか? 直島でのアートと食、そして豊かな自然との触れ合いは、きっと家族全員の心に深く刻まれる、特別な思い出になるはずです。ぜひ、このプランを参考に、記憶に残る素晴らしい旅を楽しんでくださいね!