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ラノベ離れは嘘?紙の売上7割減でもライトノベルが実は絶好調な理由

ライトノベルは「IP展開の核」(イメージ)

「最近、ラノベって売れてないんでしょ?」「もうブームは終わったのかな?」

そんな声を耳にすることが増えました。確かに、紙媒体のライトノベル文庫本の売上がピーク時から激減しているというデータを目にすると、「ラノベ離れは本当なのか?」と不安になるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください!実際のライトノベル市場は、そんな単純な話ではないんです。

 


紙媒体のラノベは減ってる?はい、その通りです。

ショッキングな数字ですが、ライトノベル文庫の売上は、2012年のピークから約71%も減少していると言われています。これは事実です。書店に並ぶ紙の文庫本だけを見ると、市場が縮小しているように見えても仕方ありません。

 

なぜ、こんなに減ってしまったのでしょうか?主な原因は次の3つです。

  1. 電子書籍への大移動: 多くの人がスマホやタブレットで手軽に読める電子書籍に移行しました。

  2. Web小説の台頭(「なろう系」の爆発): 「小説家になろう」などのサイトで、無料で質の高い(面白い!)小説がいくらでも読めるようになりました。

  3. コンテンツの多様化: アニメ、漫画、ゲーム、YouTube、Netflixなど、私たちの時間とお金を奪い合うエンタメコンテンツが、昔よりもはるかに増えたんです。

つまり、紙媒体の売上減少は、ラノベが読まれなくなったというより、「読まれ方が変わった」「読者がコンテンツ全体の中で何を選ぶかが多様化した」結果なんです。

 


「ラノベ」と「なろう系」、もう区別つかないって本当?

「ラノベ」と「なろう系」って、もともと違うものだったの?という疑問、ごもっともです。

  • ラノベ: 電撃文庫や富士見ファンタジア文庫など、出版社が主催する新人賞などを通じてデビューする、アニメ調のイラスト入りの若者向け小説。

  • なろう系: 「小説家になろう」などのWeb小説投稿サイトで、一般の人が自由に投稿し、人気が出ると書籍化される作品群。

元々は成り立ちが異なりましたが、今やその境界は限りなく曖昧になっています。

  • 「なろう系」作品の書籍化: 人気のなろう系作品の多くが、既存のライトノベルレーベルから書籍化されるため、書店に並べば区別がつきません。

  • ビジュアルの共通化: どちらも魅力的なキャラクターが描かれたアニメ調のイラストが使われるのが一般的です。これにより、読者にとっては見た目での区別がほとんどつかなくなりました。

  • 内容・トレンドの相互影響: 「異世界転生」「チート能力」といった「なろう系」で流行した要素は、今やライトノベル全体のトレンドとなり、従来のラノベ作家も取り入れるようになりました。アニメ化された『Re:ゼロから始める異世界生活』『無職転生』などはその代表例でしょう。

つまり、もはや「なろう系」はライトノベルという大きなジャンルの中に、強力なサブジャンルとして統合されている、と考えるのが自然です。

 


円盤も厳しい時代だけど、結局ラノベは強いんです!

「紙のラノベが減って、円盤(アニメDVD/Blu-ray)も売れないなら、ラノベってヤバいんじゃないの?」

ご心配はもっともです。アニメの円盤売上も、動画配信サービスの普及で大きく落ち込んでいます。かつては円盤がアニメ制作費の大きな柱でしたが、その状況は変わりました。

しかし、だからといってライトノベルの価値が下がったわけではありません。

実は、ライトノベルは今、「IP(知的財産)展開の核」として、とんでもない価値を発揮しているんです。

 

まさに「日本版アメコミ」!

アメコミが「スパイダーマン」や「アベンジャーズ」といったヒーローを世に送り出し、それがハリウッド映画やゲーム、グッズといった巨大なIPビジネスに繋がっているのと同じように、ライトノベルも日本のエンタメ業界で同様の役割を担っています。

  1. 強力なアニメ原作: ライトノベルは、アニメ化に非常に向いています。既にWebや書籍で人気があり、キャラクターデザインのベースとなるイラストもあるため、アニメ制作側にとってはリスクが少なく、企画が通りやすいんです。

  2. 世界中で大人気: 日本のアニメは今、世界中で大ブームです。ライトノベル原作のアニメが配信サービスで世界中に届けられ、それが原作の電子書籍や翻訳版の売上、さらにキャラクターグッズやゲーム化へと繋がっています。

  3. 多角的な収益モデル: 円盤の売上が減っても、アニメの配信権料、海外からのライセンス料、ゲーム化、グッズ販売、ライブイベント、舞台化など、収益源は多岐にわたります。ライトノベルが「IPの核」として機能することで、これらの二次展開から莫大な利益が生まれているんです。KADOKAWAをはじめとする出版社も、単なる「本の製造販売」だけでなく、IPをプロデュースし、多様なメディア展開を主導する方向にシフトしています。

実際、アニメ産業全体の市場規模は、円盤売上の減少を補って余りある勢いで拡大を続けています。この成長を牽引しているのが、まさに「二次展開」と「海外市場」なのです。

 


心配無用!ラノベは新しい形で進化している

「ラノベ離れ」という言葉は、紙媒体の売上減少という一面だけを捉えたものです。しかし、より広い視野で見ると、ライトノベルはWebや電子書籍といった新しいプラットフォームで読者を獲得し、アニメやゲーム、グッズといった「IP展開」の核として、その価値を飛躍的に高めています。

まさに、紙の雑誌からスタートしたアメコミが、映画を起点に世界的なエンタメビジネスに発展したように、日本のライトノベルもまた、デジタル化とグローバル化の波に乗って、新たな形で進化し続けているのです。

もしあなたが「ラノベ離れ」を心配していたなら、安心してください。ライトノベルは形を変えながら、今も日本の、そして世界のエンタメ業界を熱く盛り上げていますよ!