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【2025年は昭和100年】Z世代が熱狂!なぜ今「昭和レトロ」に沼る?エモさの理由とデザインの秘密

Z世代の心を掴む「昭和レトロ」の魅力(イメージ)

2025年、私たちは「昭和100年」という歴史的な節目を迎えます。昭和が終わってからすでに30年以上が経過しましたが、今、この「昭和」という時代が、若い世代、特にZ世代の間でかつてないほど注目を集めています。

なぜ、リアルタイムでは知らないはずの昭和が、彼らをこれほど惹きつけるのでしょうか?単なる「懐かしい」を超えた、その「エモさ」の根源とは?そして、昭和の時代に生み出された数々のデザインが、なぜ令和の今見ても「クール」「新しい」と感じられるのでしょう?

この記事では、Z世代の心を掴む「昭和レトロ」の魅力と、時代を超えて輝きを放つ「昭和モダン」デザインの秘密を、具体的な事例や背景を交えながら深掘りしていきます。

【Z世代ど真ん中!】なぜ今、私たちは「昭和レトロ」にこんなにも心惹かれるのか?

InstagramやTikTokを開くと、「#昭和レトロ」(投稿数260万件超)、「#純喫茶巡り」(投稿数80万件超)、「#昭和ファンシー」(投稿数10万件超)、「#エモい」(投稿数500万件超)といったハッシュタグと共に、色褪せた写真のような、あるいはカラフルでノスタルジックな投稿が溢れています。これは、まさにZ世代を中心とした若い世代が、昭和の世界に夢中になっている証拠です(※投稿数は2025年4月末日現在の概算です)。

彼らが昭和レトロに感じるのは、単なるノスタルジーではありません。それは、自分たちの日常にはない、新鮮で刺激的な体験であり、心にじんわりと響く「エモさ」なのです。

Z世代を惹きつける「エモさ」の具体的な理由:

  1. アナログ体験の新鮮さ
    「写ルンです」現象
    :デジタルカメラ全盛の時代に、あえて使い捨てフィルムカメラ「写ルンです」(富士フイルム、発売は1986年/昭和61年)で写真を撮るのが流行。27枚撮りや39枚撮りといった枚数制限、現像するまでどんな写真になっているか分からないワクワク感や、フィルム独特の温かい質感、粒状感が新鮮で「エモい」と感じられます。
    レコード・カセットテープ:サブスクで音楽を聴くのが当たり前の世代が、レコードやカセットテープの音質や、物理的なメディアを持つこと、ジャケットを眺める行為に魅力を感じています。都内には、ディスクユニオンの昭和歌謡館のような専門店や、地方の老舗レコード店に、山口百恵、松田聖子(1980年デビュー)、中森明菜(1982年デビュー)といったアイドルのドーナツ盤(シングルレコード)や、沢田研二、キャンディーズ(1973年デビュー)、ピンク・レディー(1976年デビュー)といったグループのLPレコードを探し求める若い客の姿が増えています。
    純喫茶のゆったり時間:スマートフォンを置いて、分厚いソファに座り、サイフォンで淹れられたコーヒーや、さくらんぼがちょこんと乗った色鮮やかなクリームソーダを味わう。東京・新宿の「珈琲西武」の豪華なシャンデリアとビロードの椅子、京都・河原町の「ソワレ」の青いゼリーポンチと独特なライティング、大阪・梅田の「アラビキ珈琲館」のようなレトロな外観と、店ごとに異なる個性的な空間ごと「体験」として楽しむZ世代で賑わいます。時間がゆっくり流れる感覚が、タイパ(タイムパフォーマンス)重視の日常との対比で心地よいのです。

  2. 「映え」る空間とアイテム
    カラフルな世界観
    :昭和レトロな空間やアイテムは、現代にはない鮮やかな色使いや独特のデザインが多く、写真や動画映えします。純喫茶のステンドグラス、タイル張りの床や壁、ベルベットの椅子、街角のネオンサインなどが、SNS映えするフォトスポットとして人気です。
    ファンシーグッズ:1980年代(昭和後期)に大流行した動物キャラクターやサンリオグッズなどのファンシー雑貨も人気が再燃しています。タキシードサム(1979年誕生)、けろけろけろっぴ(1989年誕生)、ポチャッコ(1989年誕生)、ゴロピカドン(1979年誕生)といったサンリオのキャラクターや、「うちのタマ知りませんか?」(1983年キャラクター誕生)のタマ、原田治氏の「オサムグッズ」(1970年代~)のようなデザインも「可愛い」「エモい」とZ世代に支持され、サンキューマートなどで復刻商品やコラボ商品が多数販売されています。当時の鉛筆、消しゴム、下敷き、弁当箱、レターセット、シール、ぬいぐるみといったアイテムが、今や新しいファッションやインテリアに取り入れられています。

  3. 不確実な現代へのカウンターカルチャー
    将来への不安や、情報過多な現代社会に生きるZ世代にとって、経済が右肩上がりで、未来に希望があったと言われる昭和の時代は、ある種の「理想郷」のように映る側面があります。不確実性の高い現代に対する、ある種の安心感や揺るぎなさへの憧れが、昭和レトロへの傾倒に繋がっているという分析もあります。 古い商店街(例:東京・谷中銀座、大阪・空堀商店街など)や、昔ながらの銭湯は、地域の人々との温かい繋がりや、失われつつあるコミュニティの形を感じられる場所として、若い世代にも再評価されています。

新鮮なデザインの昭和家電(イメージ)

令和に最先端!? 時代を超えてクールな「昭和モダン」デザインの秘密

昭和レトロの魅力は、空間や雰囲気だけではありません。昭和の時代に生み出されたプロダクトや建築、グラフィックデザインには、今見ても色褪せない、むしろ新しさすら感じさせる魅力があります。私たちはこれを「昭和モダン」と呼んでみたいと思います。

「昭和モダン」デザインがクールな理由と具体例:

  1. 機能性とデザインの絶妙なバランス
    家電のアイコン
    :1950年代後半から60年代の「三種の神器」(冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ)に代表される家電は、日本の家庭のライフスタイルを大きく変えました。ナショナル(現パナソニック)の初期の洗濯機「愛妻号」(1953年/昭和28年発売)のように、機能性を追求しながらも、親しみやすいネーミングや丸みを帯びたデザインが施されていました。ソニーのトランジスタラジオ(1955年/昭和30年発売)などは、ポータブルオーディオの先駆けであり、シンプルながらも洗練されたデザインが今見ても魅力的です。
    柳宗理のエレファントスツール:家具デザイナーの柳宗理氏がデザインした「エレファントスツール」(1954年/昭和29年発表)は、象の足を思わせる有機的なフォルムとスタッキング(積み重ね)できる機能性を両立。発表から70年近く経った今も世界中で愛されるプロダクトデザインの傑作です。

  2. 力強いメッセージとユニークな表現
    企業ロゴとパッケージ
    :キッコーマンの醤油卓上瓶(1961年/昭和36年、デザイン:亀甲萬デザイン室)や、森永ミルクキャラメルのパッケージなど、時代を超えて愛されるデザインは、シンプルながらも強いブランドイメージを確立しています。1968年(昭和43年)に発売された「ボンカレー」の日本初の市販用レトルトカレーのパッケージも、赤と黄色の鮮烈なデザインが記憶に残ります。
    グラフィックデザイン:1964年(昭和39年)の東京オリンピックのポスター(デザイン:亀倉雄策)は、日本のデザイン力を世界に知らしめました。横尾忠則氏や宇野亜喜良氏といったアーティストが手がけた1960年代後半~70年代のポスターは、サイケデリックで実験的な表現が多く、今見ても非常に刺激的です。

  3. 未来への希望が込められた建築
    東京タワー
    :1958年(昭和33年)に竣工した東京タワーは、戦後日本の復興と成長のシンボルとなりました。その力強くも美しいシルエットは、今も東京のランドマークであり続けています。
    丹下健三の建築:建築家・丹下健三氏が設計した国立代々木競技場(1964年/昭和39年東京オリンピック会場)や、東京都庁舎(1990-91年/平成2-3年竣工ですが設計は昭和末期)などは、モダニズム建築の傑作として知られ、そのダイナミックな構造や空間は見る者に感動を与えます。

Z世代の感性が「昭和100年」の価値を再発見する

このように、Z世代が惹かれる昭和レトロの「エモさ」も、時代を超えてクールな「昭和モダン」デザインも、単なる過去の遺物ではありません。彼らは、現代の視点とフラットな感性を通して、昭和の中に埋もれていた多様な価値を再発見し、自分たちのライフスタイルに取り入れています。

古着屋で1970年代や80年代の昭和レトロなワンピースや柄シャツを見つけたり、祖父母の家で見つけたナショナル(現パナソニック)製の古いラジオや、昭和時代の花柄の湯呑み、ダルマストーブなどを大切に使ったり。フリマアプリやネットオークションでは、おニャン子クラブ(1985年結成)やチェッカーズ(1983年デビュー)、光GENJI(1987年デビュー)、小泉今日子、中山美穂、Wink(1988年デビュー)といった80年代アイドルのポスターやファンクラブ会報、あるいはコカ・コーラのロゴ入りヨーヨー、グリコのオマケ、サントリーの販促用グラス、たばこ屋さんのホーロー看板といった昭和時代のアイドルグッズや、昔の企業のノベルティグッズが、希少価値から高値(数千円~数万円、時にはそれ以上)で取引されることも珍しくありません。

デジタルツールを使って、ピクセルアート風に昭和の広告風のイラストを描いたり、TikTokで昭和歌謡に合わせてレトロ風のフィルターを使った動画を制作したりするクリエイターも増えています。これは、Z世代が「古いもの」を単に消費するのではなく、そこに新しい価値を見出し、現代の感覚で再解釈し、創造に繋げていると言えます。

まとめ:「昭和100年」は過去ではない、新しい価値に出会う旅へ

「昭和100年」という節目は、単に過ぎ去った時代を懐かしむ機会ではありません。それは、私たちが立ち止まり、昭和という時代が生み出した文化、暮らし、そしてデザインの中に、現代に繋がるヒントや、新しい価値を見出すための素晴らしい機会です。

Z世代の自由な感性が、凝り固まった「古い」というイメージを打ち破り、昭和の多様な魅力を再発見しています。アナログの温かさ、ユニークなデザイン、そして人と人との繋がり。これらは、物質的に豊かになった現代だからこそ、その価値がより一層際立つのです。

あなたの身の回りにも、きっと素敵な「昭和」が隠れているはずです。近所の純喫茶、古い商店街、実家にある古い家電、あるいはYoutubeで昔のCMを見てみるのも良いでしょう。「昭和100年」を機に、あなたの「エモい」昭和、そして「クール」な昭和モダンデザインを探してみてはいかがでしょうか。それはきっと、あなたの日常に新しい彩りと発見をもたらしてくれるはずです。