バックパッカーと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 安宿、バックパックを背負った旅人たち、そして、タイ・バンコクのあの熱気あふれる通りでしょうか。かつて、バックパッカーの旅の原点であり、世界の旅人が一度は目指した場所、それが「カオサン通り」でした。
しかし、時代は常に変化しています。現代のバックパッカーが求める旅の形は多様化し、それに合わせて「聖地」と呼ばれる場所も世界各地に広がっています。ビーチでのんびり過ごしたい人もいれば、秘境を目指す人、歴史や文化にどっぷり浸かりたい人、さらにはリモートワークをしながら旅を続ける「デジタルノマド」まで、様々なスタイルがあります。
この記事では、そんな多様化する現代のバックパッカー聖地を、具体的なエピソードを交えながらたっぷりとご紹介します。そして、多くの人が気になるであろう、かつての聖地・バンコクの「カオサン通り」の最新動向についても詳しく掘り下げていきます。さあ、あなたの次の旅のインスピレーションを見つけに出かけましょう!
多様化する冒険の舞台:世界の現代バックパッカー聖地
かつてバックパッカーの旅といえば、安く長期間移動することを指すイメージが強かったかもしれません。しかし、LCCの普及やインターネット環境の整備など、旅を取り巻く環境が激変した現代では、バックパッカーの旅も進化しています。それに伴い、彼らが集まる「聖地」も、都会の喧騒から離れた静かなビーチ、手つかずの自然が残る山間部、豊かな歴史を持つ古都、そして最新技術が集まる都市部まで、実にバラエティ豊かになりました。
たとえば、インドネシアのヌサペニダ島は、まさに現代のバックパッカーが発見した新しい冒険の島と言えるでしょう。Hostelworldの2025年調査で堂々の人気第1位に輝いたこの島は、断崖絶壁の「クリンギンギンビーチ」からの息をのむような絶景、聖なる洞窟での厳かな祈祷見学、そして何と言っても大迫力のマンタと一緒に泳ぐシュノーケリングなど、日常では決して味わえないスリルと感動の連続が魅力です。オフロードバイクで未舗装の道を走り、隠れたビーチやビューポイントを探すのも定番のアクティビティとなっています。
タイ南部では、サムイ島やタオ島へのトランジット地点として知られていた港町、シュラートターニーが注目を集めています。かつては素通りする旅人がほとんどでしたが、今はここに滞在し、ディープなタイ体験を求めるバックパッカーが増えているそうです。Hostelworldによると、特に人気なのが運河をボートで巡るツアーや、地元の人々で賑わうナイトマーケット。活気あふれる屋台で、フレッシュな青パパイヤを使ったスパイシーなサラダ「ソムタム」を頬張れば、これぞリアルなタイ!と感じられるでしょう。
タイ北部、山間にひっそりと佇むパイは、その自由でヒッピーライクな雰囲気で根強い人気を誇ります。The Broke Backpackerによると、ここではパイキャニオンでの燃えるような夕日を眺めたり、カレン族が運営する秘湯「サイーンガム温泉」で泥パックを試したりするのが定番のアクティビティ。近年は、一部の若者の間で特定のキノコを摂取する、いわゆる「マジックマッシュルーム体験」も話題になっているようですが、くれぐれも合法性や安全性には注意が必要です。一方で、古都チェンマイは、その落ち着いた雰囲気と手頃な物価、快適なカフェやコワーキングスペースの存在から、デジタルノマドの聖地としての地位を確立しています。global.hostelworld.comで紹介されているような家族経営のホステル「オール・ファミリー・ホーム2」に泊まれば、まるでホームステイをしているかのような温かい交流が待っているかもしれません。
アジア以外にも、バックパッカーを惹きつける魅力的な場所はたくさんあります。モロッコの古都フェズでは、中世にタイムスリップしたかのような迷宮都市・旧市街(メディナ)に迷い込む体験ができます。global.hostelworld.comによると、伝統的な邸宅を改装したバックパッカー向けのリアド(宿泊施設)に滞在し、現地ガイドと一緒に複雑に入り組んだスーク(市場)を歩けば、スパイスの香りや職人の技、人々の活気に触れ、街の文化に深く没入できるでしょう。
東アフリカ、ザンジバル島のジャンビアニは、ため息が出るほど美しい白砂のビーチとターコイズブルーの海が広がるリゾート感満載のエリアです。ビーチバンガロータイプのホステルに滞在し、夜はビーチに並ぶ屋台でシーフードを味わい、日中はスパイスプランテーションを訪れるツアーに参加するのが人気だそうです(global.hostelworld.com)。そして、Hostelworldの2025年調査で20位にランクインした西アフリカの玄関口、セネガルのダカールも注目株です。現代アートギャラリー巡りや、先住民セーダンの伝統舞踊ワークショップ体験など、他の地域とは一味違う文化体験ができると話題になっています。
ヨーロッパに目を向けると、スロベニア第2の都市マリボルもバックパッカーの間で人気が上昇中です。Hostelworldによると、中世の美しい旧市街を散策したり、周辺の丘陵地帯に広がるブドウ畑でワイン文化に触れたりできます。ユニ・ユース・ホステルでは、夏には音楽フェスへの参加が定番のアクティビティだとか。フランス南西部のサーフタウン、オッセゴールは、ヨーロッパの若者にとってのサーフィンの聖地。10月にはプロサーフィン大会も開催されます。JO&JOEホステルでは、砂の庭でのビーチヨガやバーチャル波情報セッションといったユニークなサービスも提供されており(Hostelworld)、サーフィン好きにはたまらない環境です。北欧ノルウェーの学生都市トロンハイムは、歴史的な街並みと現代的な雰囲気が融合した魅力的な都市。北欧らしいカラフルな木造建築、壮大な大聖堂、そして冬にはオーロラ鑑賞も楽しめます。トロンハイム・ヴァンドレルヘイムの暖炉ラウンジで、世界中から集まった旅人と語り合う時間は、忘れられない思い出になるでしょう(Hostelworld)。美食の街としても知られるポルトガルの首都リスボンも、バックパッカーに大人気。名物のトラム28号線に乗って坂の多い街を巡ったり、焼きたての絶品エッグタルト「パステル・デ・ナタ」を味わったりと、食文化も存分に楽しめます。特に、バイラロ・アルト地区のホステルでは、屋上テラスで地元ミュージシャンのライブを楽しめる場所もあり、夜遅くまで賑わっています(Hostelworld)。
北中米では、グアテマラの緑豊かな高地に囲まれた植民都市、アンティグアがバックパッカーを惹きつけています。Nomadic Matt's Travel Siteによると、美しいコロニアル建築の街並みを歩くだけでも魅力的ですが、ここでのハイライトは何と言っても火山トレッキング。活発なフエゴ火山や、より挑戦的なアカテナンゴ火山へのトレッキングは、体力的に大変ではありますが、山頂からの絶景と達成感は格別です。コスタリカの太平洋沿岸に位置するノサラは、サーフィンとヨガの聖地として知られています。Hostelworldによると、セリーナ・ノサラのようなエコサファリ、ジャングルでのヨガ、そしてヘルシーなビーガン料理がセットになった滞在プランが人気で、心身ともにリフレッシュできる旅が実現します。そして、かつては「世界で最も危険な都市」と呼ばれた過去を持つコロンビアのメデジンは、近年劇的な変貌を遂げ、バックパッカーも多く訪れるようになりました。Nomadic Matt's Travel SiteLatest news & breaking headlinesによると、公営のケーブルカーに乗って丘陵地帯を訪れ、コムナ13地区のカラフルなストリートアートを巡るウォーキングツアーは、もはや定番のアクティビティです。かつての危険なイメージとは裏腹に、2022年比で犯罪率が97%も減少したという驚くべき統計もあり、年間120万人以上の観光客が訪れる安全な都市へと生まれ変わった街の姿を、その目で確かめることができます。
オセアニアでは、美しい島々が連なるフィジーが注目されています。ロンリープラネットが発表した「2025年ベストイントラベル」で第3位に選出されたフィジーでは、単なるリゾート滞在に留まらない、より体験型の旅が人気です。Fijivillageによると、サンゴ礁の保全活動に参加できる「バラバブル」プログラムや、マンタやサメと一緒に泳ぐダイビングツアーなど、美しい自然を守る活動に触れながら旅ができるのが魅力です。
かつての聖地、今。タイ・バンコク「カオサン通り」のリアル
世界中に新しいバックパッカー聖地が誕生する一方で、やはり多くの旅人にとって特別な場所であり続けるのが、タイ・バンコクのカオサン通りでしょう。かつては、ここからアジア各地へ旅立つバックパッカーたちの情報交換の場であり、安宿や屋台、旅行代理店がひしめき合う、まさに旅の「原点」でした。Redditの投稿にも、カオサン通りでの忘れられない異文化交流のエピソードが数多く見られます。
しかし、近年は様々な変化がありました。特に、世界中を襲ったCOVID-19の影響は甚大で、厳格な規制によりカオサン通りは一時的に閑散としてしまいました。加えて、タイ王室の弔意期間中の夜間営業規制なども重なり、かつての賑わいは遠いものに。thestreetfoodguy.comのような情報源によると、観光客の減少と規制の中で、ドリンクの「バケツ」(アルコールとジュースなどを混ぜたもの)の値段が通常数百バーツだったものがさらに高騰するなど、物価の上昇もバックパッカーにとっては厳しい状況でした。
そんな困難な時期を経て、カオサン通りは再び活気を取り戻しつつあります。その象徴と言えるのが、タイの旧正月を祝う水掛け祭り「ソンクラーン」です。nationthailandによると、2025年4月のソンクラーン期間中、カオサン通りだけで約6万人、近隣のシーロム通りなども含めると、国内外から実に72万人以上もの人々が水掛けを楽しむために集結しました。通りは文字通り人で埋め尽くされ、水しぶきと音楽、そして人々の熱気で溢れかえり、かつての賑わいが戻ってきたことを実感させました。もちろん、これだけの人出となると、騒音や混雑に関する苦情も相次いだようですが、街に活気が戻ったことは間違いありません。
ソンクラーン祭りの後、バンコク都のプラナコン区役所は、4月16日にカオサン通り周辺で大規模な清掃作業を実施しました。Log in or sign up to viewの情報を見ると、祭りで出たゴミの回収だけでなく、インフラの点検や衛生状態の改善にも乗り出しており、行政もカオサン通りの再生に力を入れていることがわかります。
現在のカオサン通りは、トリップアドバイザーの1万4000件以上のレビューで平均4.0点を維持していることからもわかるように、依然として多くの旅人にとって魅力的な場所です。「ラウドバーとストリートフードの宝庫」と評価されている通り、夜遅くまで賑わうバーや、安くて美味しい屋台飯は健在。バックパッカー向けのホステルやゲストハウスも多く営業しており、再び「東南アジアの夜遊び発祥地」としての顔を取り戻しつつあります。しかし、深夜の騒音規制、慢性的な交通渋滞、そして屋台の許認可問題など、持続可能な観光地として発展していくためには、解決すべき課題も残されています。
終わりに
世界各地に広がる多様なバックパッカー聖地と、変化しつつもその魅力を放ち続けるバンコクのカオサン通り。現代のバックパッカー旅は、一つの場所に留まらず、自分の興味やスタイルに合わせて様々な「聖地」を選ぶことができる、より自由で多様な旅へと進化しています。
この記事が、あなたの次の旅の計画を立てる上でのヒントや、新たな冒険へのインスピレーションになれば幸いです。さあ、バックパックを背負って、未知の世界へ飛び出しましょう!